NEWS

門川町みらいリーダー塾で登壇してきました

11月18日、門川町主催で開催されている「門川町みらいリーダー塾」に参加してきました。

「門川町みらいリーダー塾」とは、次の時代に向けて――
門川町で働く社会人や経営者が、企業家精神と公共の視点を持ちながら、 自分の「まち」や「地域」の課題、そして最新の経営課題を知り、考え、行動し、 解決へ向け実践できる サステナビリティ・マインド と シビックプライド を兼ね備えたリーダーの育成を目指します。
(リーダー塾を企画運営された(株)シンク・オブ・アザーズ様HPより)

キックオフを加えて全7回の連続講座。その最終回「宮崎の現場から学ぶローカルイノベーション!」に一平ホールディングス村岡さん、セキュリティロード齊藤さん、とともに宮崎オープンシティ推進協議会杉田が参加しました。モデレーターは企画運営されたシンク・オブ・アザーズの難波さんがつとめられました。

まずは一平ホールディングスの村岡さんの講演
20代が動かした離島合宿から始まった、「九州の未来」

1月18日、九州の離島に約130人が集まり、3日間泊まり込みで「九州の未来」を語り合う合宿が開かれた。実行委員長は25歳、運営の中心も20代と学生。肩書きを外した対話は、地域のこれからを自分ごとに引き寄せる濃い時間になった。

背景にあるのは「一つの自治体だけでは暮らしを支えきれない」という現実だ。防災や医療、観光などは広域で連携する時代へ。国の地方創生も次の段階に入り、「広域連携」が柱として語られ始めている。

同時に、テクノロジーは移動や働き方を一気に変えようとしている。2027年のドローンタクシー事業化など、未来は想像より早い。だからこそ、地域戦略は「今」だけでなく、10年先を見据えて描く必要がある。

時代は「価格と効率」から「つながり」、そして「共感が価値になる」方向へ。クラウドファンディングで被災した食堂が短期間で復活した事例のように、“残したい”と思われる場所には支援が集まる。小さく生み出し、深く続ける挑戦が地域の力になる。

そして宮崎は、まだ“発見されていない場所”。言語の壁が薄れる今こそ、神話や自然、食といった資源を、共感で広げていく余地が大きい。

これまでのまちづくりや巻き込み力を中心に講演されました。
続いて、セキュリティロード齊藤社長の講演が続きます

「採用の悩み」から始まった、地域企業のサステナブル経営

宮崎発の警備会社を軸に、福祉、M&A、新規事業へと事業を広げ、現在はグループ4社・従業員約700名を率いている。転機は「採用」だった。

東京の知人から「学生は企業のSDGs姿勢を見ている」と聞き、軽い気持ちでSDGs委員会を立ち上げたことがきっかけだった。しかし始めてみると、ボランティアやCSRの延長では会社は変わらないと気づく。そこで外部の専門家と組み、「理念・ビジョンを軸にしたESG経営」へと舵を切った。

同社の特徴は、ESGやSDGsという言葉を社内でほとんど使わないこと。「これは理念を実現するための経営だ」と伝え続け、42の具体目標とKPIを設定し、現場主導で回してきた。休暇制度の刷新、障害者雇用の定着、外国人新卒の採用、女性活躍、DX化などは、その延長線にある。

特に大きかったのが外国籍人材の参画だ。会社に一気に多様性と成長意欲が生まれ、地方にいながら世界とつながる感覚が組織に根づき始めたという。

斉藤氏が掲げるビジョンは、2030年に1500人体制。M&Aも「採用」と捉え、九州からアジアへと事業領域を広げていく構想だ。高齢者、障害のある人、子育て世代、外国人——誰もが安定して働ける企業であることが、成長の前提条件だと語る。

ESG経営を通じて実感したのは、「やるべき経営課題が全部そこにあった」ということ。一つひとつを継続することで組織は変わり、それが文化になり、企業の強さになる。斉藤さんは最後にこう締めくくった。

「ESGは目的じゃない。会社が成長し、地域に必要とされ続けるための“経営の型”なんです。」

社内でのSDGsの展開の仕方でも巻き込み力について語られました。私は、古今東西イノベーションを起こしてきた3パターン(機会活用型、人材活用型、好機活用型)やアイデアから具体な行動に移す際の手順などについてお伝えしました。

その後、講演した3名と難波さんによるパネルディスカッションが行われました。

「挑戦は、連鎖する」——門川の海辺で交わされた“巻き込み”

テーマは「挑戦の連鎖」。誰かの挑戦が隣の誰かを動かし、また次の挑戦が生まれていく。その連鎖が起きるとき、共通しているものは何なのか——そんな問いから議論が始まった。

危機感と、0.5歩先を歩く“師”の存在

挑戦の起点として語られたのは「危機感」だった。土台が崩れた瞬間に「このままじゃまずい」と思えた、と。同時にもう一つ大きかったのが出会い。杉田曰く、「村岡さんは、相手を置き去りにして引っ張るのではなく、0.5歩先を歩くタイプ」だという。先導する身近なスーパーマンの存在は大きく、とはいえ近寄りがたい存在ではなくそっと導いてくれる、そんな存在が近くにいることは大きい。

挑戦を続けるには、現実に合ったスピードがいる。そんな実感が共有された。

後悔の言葉が、背中を押す

続いて出てきたのは“後悔”の話だ。死の間際に多くの人が口にする「自分の人生を生きればよかった」という言葉。そこから、時間をかけて覚悟を固めていくプロセスが語られた。挑戦は勢いだけではなく、人生に責任を持とうとする動きでもある。

巻き込みは“手触り”で決まる

同じ巻き込みでも、嫌な巻き込まれ方と、気づけば乗っている巻き込まれ方がある。その差は、意外なほど小さな所作に宿る。

握手をする

「最近どう?大変やね」から入る。完璧な指示ではなく、「困ってる、一緒にやってくれん?」と弱さも見せる。そして、いきなり大きな目標に飛ばない。ブレスレットを作る、商店街に貼る、合意形成を一緒にやってみる。巻き込みはスローガンではなく、触感で起きる——そんな言葉が場に残った。

地域は「大義」がないと動かない

企業なら給料や権限で人を動かせる。だが地域ではそれができない。だから必要になるのが共通の大義だ。人の時間をもらうのは簡単ではない。関係性がある人の挑戦には乗るが、突然頼まれても動けない。地域では、この“応援したくなる関係”そのものが資本になる。

組織を動かす鍵は「理念を噛み砕く」こと

企業側からは、700名規模の組織をどう動かすかが語られた。要点はシンプルで、理念とビジョンを経営者が言葉にし続けること、そして採用も共感型にすること。

ただし落とし穴がある。組織が大きくなるほど言葉は難しくなり、置き去りが生まれる。だからこそ必要なのは、専門用語を掲げることではなく、小学生にも分かる言葉への翻訳。ハンドブックを作り、読み合わせをする。「売上とは何か」「利益とは何か」まで落とし込む。理念は生活語になって初めて組織を動かす。

「突破口は何か?」に返ってきた別の問い

地域の議論はさらに深まる。持続可能性は役場機能の話であって、住民の暮らしと必ずしも一致しないのではないか。突破口を探すなら「誰が突破するのか」という問いを避けてはいけない。

鍵として出てきたのは、

  1. つなげる場をつくること(点在する努力を結び直す)
  2. 受け入れる力がある街かどうか(外からの挑戦を拒まない)

そして「守るために開く」という逆説が語られる。閉じて守っているつもりでも、黙っていれば縮んでいく。広域連携も結局は、握手する意思を持てるかどうかにかかっている。

エンディング——魂は、器に人が入って宿る

ディスカッションの最後は”開催会場そのもの”をテーマにした。建物だけでは足りない。人が集まり、混ざり、イベントを回す。魂は器に人が入って初めて宿る。

そして「宮崎だからできることがある」「いつか九州は発見される。その価値をどう変えるかが住む人の仕事だ」という言葉で議論は結ばれた。

挑戦は個人の勇気だけでは生まれない。危機感、師の速度、握手の温度、言葉の翻訳、場の設計、受け入れる街の柔らかさ——それらが揃ったとき、挑戦は連鎖しはじめる。


たくさんの町内の方々、また最初の起案をした役場の方の一体感がとても印象的でした。またこの3時間弱に及ぶ議論をグラフィックレコードでまとめてくださった清山さん。模造紙をどんどん追加して書き足していき、また最後皆さんと共に振り返る(ハーベスト)を行なっていただき論点整理ができたのはもちろん、新しい発見もありみなさまたくさんの写真を撮られてらっしゃいました。

セミナー終了後もアンケートや役場の方々からの来年もぜひ!という熱い言葉が続き、今年度だけでは終わらない予感。ぜひ継続していっていただきたいですし、MOCとしてもどんどん県内外に出ていって挑戦の輪を広げていきます。

難波さんの締めの挨拶。終了と同時にカーテンが開き門川の山々に美しい夕陽が映えました。

お知らせ一覧