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MOCグランドオープンイベント_第2部 パネルディスカッション 「次世代につなぐ地域イノベーション」

第2部 パネルディスカッション 「次世代につなぐ地域イノベーション」

第1部休憩の後、パネルディスカッション「次世代につなぐ地域イノベーション」にて第2部の幕が上がりました。司会進行を米良充朝さん(MOC 理事長/株式会社共立電機製作所 代表取締役社長)が務め、パネリストとして齋藤隆太さん(株式会社ライトライト 代表取締役)、築地加代子さん(株式会社九州築地 代表取締役)、淡野公一さん(宮崎大学 副学長/宮崎大学研究・産学地域連携推進機構 副機構長)、永山英也さん(宮崎市 副市長/MOC 顧問)が登壇しました。

「掛け合わせ」がイノベーションを生む

米良充朝さん(以下、米良):

ゲストの皆さんは「掛け合わせ」を得意とされています。今までご経験されたなかで新たな価値の創造につながったなというエピソードを教えていただきたいと思います。齋藤さん、いかがですか?

齋藤隆太さん(以下、齋藤):

掛け合わせという文脈ですと、今までにはなかった売り手と買い手の掛け合わせが生まれているなという実感はあります。私たちは事業承継をテーマとした事業を行っています。従来、事業承継は売り手情報を非開示で行うというクローズドなものでした。当然、受け継ぐ人が見つからない事態も起こります。そのルールを変えて、私たちは売り手情報を表に出すオープンネームというやり方をとりました。

廃業予定だった書店を、業務を上手に引き継ぎながらカフェとして再生させたりと、小規模だけど地域に影響を与えるイノベーションが生まれています。

米良:

築地さんはいかがでしょうか。

築地加代子さん(以下、築地):

私は魚の卸業をしているので漁や養殖をされている方と会う機会が頻繁にあります。皆さんご存知のように世界の天然資源が減少していくなかで養殖は必要不可欠です。そこで生産者と一緒に宮崎の魚を世界基準に押し上げたいと思い、2025年2月に「しまうら真鯛」を育てる木下水産さんとASC・COC認証を取得しました。

米良:

築地さんは生産者の中へ果敢に飛び込んでいく印象がありますが、心がけていることはありますか?

築地:

そうですね、私を含めた皆がどうすれば心の痛くない仕事ができるかを考えています。生産者さんでも考え方の相違があります。でも、未来を向いた取り組みをしたいと思っているのは皆同じ。それぞれの考え方に敬意を持って、良い提案ができるようにしています。

米良:

粘り強さを感じます。続きまして、淡野先生にお聞きします。宮崎大学で産学地域連携を担当していますが、現在力を入れていることなど教えていただけますか?

淡野公一さん(以下、淡野):

私は大学の人間ですが、実はほとんど学内にはおらず外回りをしています。というのも、大学というのは常に存在意義が問われるものですので、地域から求められていることは何か、その調査や事業連携に勤しんでいます。

米良:

宮崎大学といえば、4月に宮崎駅近くの錦本町に学生と企業をつなぐ場として「ひなたキャンパス」が開設されました。MOCとの掛け合わせ、混ざり合いが期待できそうです。

淡野:

協力したいことがたくさんあります。学生がプレイヤーとなって活動できることを練りたいですね。学生のスタートアップ支援につなげていければ。

米良:

ここで副市長に質問したいのですが、どういう経緯でMOCの構想が立ち上がったのですか?

永山英也さん(以下、永山):

一番は「つなぐ」場がほしいなと思っていました。イノベーションが起こる条件に「経済資産」「空間資産」「ネットワーク資産」の3つが必要だという統計分析があるのですが、宮崎はこれらがそこそこにある。しかし、それらを上手につなぐ組織や体制がないことが閉塞感を生んでいる。

MOCは行政側が企画したものですが、立ち上げ前に村岡浩司さんや齋藤潤一さんたちに相談したんですね。結果、私たちが行政の枠内で考えていたものとは全く違うものになってくれた。発足して1年が経ちましたが、誇れる良いモデルケースができたと感じています。

トップランナーたちがMOCに期待することとは

米良:

その点で皆さんにお聞きしたいのですが、MOCに期待をしていることを教えてください。

永山:

イノベーションが起こるときはいろんな軋轢があると思うんです。私自身、県政に関わってきた身として感じます。そこで重要なのは立場を超えて課題を共有すること。そして、違いを認めること。そこだけはブレずに粘り強くやっていく。そのど真ん中で連携を促していく存在にMOCはなってほしいなと思います。

米良:

淡野先生は大学という観点から期待していることはありますか?

淡野

やはり大学としてはベースに研究があります。いろんな学部学科がありますが、研究者ってビジネスやソリューションの種を持っているんです。その種を使ってMOCと一緒に事業ができるとおもしろい広がりが生まれるなと感じています。あとは、学生と大人が交流できる機会をつくりたいですね。錦本町のひなたキャンパスとMOCとは近いですから、学生が街中に来るついでにフラッと立ち寄って刺激を受けてほしいですね。

米良:

我々も、学生と近くなるのってテンション上がるんですよね。背筋が伸びるというか「ああいう大人になりたいな」と思ってもらえることも大切だと感じています。続いて築地さんはいかがですか?

築地:

この空間を使って、宮崎のお魚の魅力や第一次産業の現状を発信できるといいなと思っています。第一次産業の就業人口は全体の3%程度だと言われています。その人たちが私たちの食を担っていると考えると、一次産業者を大事にしたいですよね。MOCはいろんな人や知恵や情報が集まる場ですから、ぜひ力をお借りしたいと思います。

米良:

地域事業者の支援者として、齋藤さんはどうお考えでしょうか?

齋藤:

大きく目立つことをするのもいいのですが、私たちとしては小規模事業者を支援していることもありますし、我々自身もスタートアップなので、街なかや商店街など地域で頑張ってる飲食店さんや小売店さんにも目を向けた活動があってほしいですね。本当に期待していますし、自分自身も協力したいと思います。

米良:

おっしゃる通りで、小さい積み重ねが足腰の強い地域をつくっていく。私たちMOCとしてもそんな掛け合わせを大切にしたいと考えています。花火を大きくあげて「やった感」に満足してしまわないように。今日いただいたお話を土台としながら次世代につなげる活動ができればと思います。本日は本当にありがとうございました。

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