PROJECT

【10月31日開催】野菜ソムリエ×生産者直送サタデーMOCランチセミナー 〜お米の食べ比べセミナー〜

 宮崎県は温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、一年を通して魅力的で高品質な農産物や畜産物が数多く生産されています。そのような宮崎の「旬」と「食の背景」をもっと身近に感じていただこうと、野菜ソムリエコミュニティ宮崎のメンバーと地元の生産者・加工業者がタッグを組んで開催されたのが「野菜ソムリエ×生産者直送サタデーMOCランチセミナー」です。

今回のテーマは「『作る人』と『食べる人』をつなぐご飯時間」。登壇講師として、有機米の栽培に取り組む株式会社宮崎アグリアート取締役の松本愼一郎さん、そして地元宮崎の畜産加工を支える株式会社栗山ノーサンの池田さん(愛称:いけっち)をお迎えしました。野菜ソムリエコミュニティ宮崎代表の坂東淳子さんの進行のもと、農業や畜産業へのこだわり、これまでの苦労や挑戦についてお話を伺いながら、実際に4種のお米やこだわりの豚肉料理を味わい、宮崎の食の魅力を五感で体感する充実した時間となりました。

1. 創業24年の有機米農家・松本愼一郎さんの挑戦とお米の深い世界

最初に登壇された株式会社 宮崎アグリアートの松本愼一郎さんは、宮崎市西地区(生目の杜運動公園周辺)を中心に、長年にわたり有機米の栽培に取り組んでいる生産者です。

耕作放棄地を再生し、大自然と共生する大規模有機農業

松本さんが有機農業の世界に飛び込んだのは、2001年に「有機JAS法」が制定された翌年のこと。以来24年間にわたり、無農薬・無化学肥料による米作りを徹底して続けています。

有機栽培では、自社で発生する籾殻や近隣の畜産農家から譲り受けた牛ふん・稲ワラを堆肥として循環させた土作りを行っています。除草作業においては、昔ながらの手作業による過酷な労力を軽減するため、乗用除草機やGPS搭載トラクターなどの最先端テクノロジーを積極的に導入し、大規模かつ効率的な有機農業を実践しています。

異常気象への対応と「ひこばえ米(再生イネ)」への挑戦

長年の有機栽培の中でも、近年の地球温暖化による「高温障害」は大きな課題となっています。7月下旬に35度以上の猛暑が連日続いた年には、全収穫量の約30%のお米に高温障害が発生し、お米が白濁したり胴割れしたりする大きな被害に見舞われました。

特に粘り気の強い品種「ミルキークイーン」は高温障害に弱く、一時は苦境に立たされましたが、松本さんは顧客へサンプルを発送してアンケート調査を実施。「割れたお米でも炊けば十分美味しい」「大量に炊いた際に米粒の隙間が詰まり、新たな食感が生まれる」といった参加者からの声を得たことで、マイナスをプラスの気づきへと変えるきっかけとなりました。

専門知識が深まる「お米4品種の目隠し食べ比べ」

セミナーでは、目隠し(品種名を伏せたA・B・C・Dのお皿)によるお米の食べ比べ体験が実施されました。用意されたのは、それぞれ異なる背景と食感を持つ4つの品種です。

●ゆうだい21
●ヒノヒカリ
●にじのきらめき
●ミルキークイーン

参加者からは「ヒノヒカリは食べ慣れた安心感がある」「ゆうだい21の粒感がすごい」「ミルキークイーンのもちもち感に驚いた」など多様な感想が寄せられ、食味の好みは人それぞれ異なること、そして標高(400〜700mの寒暖差)や山からの恵みによるミネラルが米作りに大きく影響していることを深く学ぶ機会となりました。

2. 畜産王国・宮崎の恵みを活かす栗山農産・池田さんの物語:希少部位「豚ハラミ」の価値再発見

続いて登壇されたのは、都城市に拠点を置く株式会社 栗山ノーサンの池田さん(いけっち)です。

畜産王国・都城と栗山農産のバックボーン

宮崎県都城市は全国有数の畜産王国として知られています。創業約50年を誇る栗山ノーサンに長年勤める池田さんは、肉の処理場から出る内臓肉や皮、副産物を無駄にせず、美味しい食品や有用な資源へと生まれ変わらせる事業を担っています。

今回スポットが当てられたのは、1頭の豚からわずしか取れない極めて希少な部位「豚ハラミ(横隔膜)」です。赤身肉のような見た目ですが分類上は内臓肉に当たり、常に呼吸で動いている部位のため低カロリーでヘルシー、さらに歯ごたえと肉本来の強い旨味を持っています。

しかし、この豚ハラミの製品化には大きな苦労がありました。加熱するとお肉が縮んで硬くなってしまう原因を追求した池田さんは、お肉を包む膜の処理方法を劇的に見直し、一口サイズにカットした「コロコロハラミ」としてリニューアル。さらに相性の良いニンニク醤油で漬け込むことで、臭みを抑えてジューシーな柔らかさを引き出すことに成功しました。現在ではふるさと納税などで年間約15万パック(加工肉200トンのうち約半分)を出荷する大ヒット商品へと成長を遂げています。

池田さんは「安売りするのではなく、地元の素晴らしい食材の価値を正しく伝え、廃棄ゼロで部位を使い切ることが、生産者や地域社会への恩返しになる」と語り、持続可能な食循環への熱い思いを伝えてくださいました。

3. こだわりのランチ:4種おにぎり×ハラミ&野菜ソムリエ特製メニュー

セミナー後半のランチタイムには、野菜ソムリエコミュニティ宮崎の皆様が腕を振るった特別ランチメニューが振る舞われました。

宮崎の恵みが詰まったスペシャル献立

  • 4品種のおにぎり食べ比べ(ゆうだい21 / ヒノヒカリ / ヒノヒカリの玄米 / ミルキークイーン)
    • 食べ比べで試食した4種類のお米を、それぞれ一口サイズのおにぎりとして
  • コロコロハラミのニンニク醤油・長芋・トマトのオリーブオイル和え(黒木さん作)
    • ニンニク醤油漬けのハラミに火を通し、長芋とトマト、オリーブオイルで爽やかに仕上げた一品。
  • コロコロハラミと玉ねぎの土手煮風(黒木さん作)
    • コロコロハラミと玉ねぎをじっくり煮込み、お米がどんどん進む濃厚な味付けに仕上げたご飯のお供。
  • 朝採れきゅうりの油味噌和え(佐光さん作)
    • 朝採れのハス切りきゅうりに、椎茸・人参・ゴボウ・油揚げ・竹の子などが入った女性農業者特製の手作り油味噌を合わせた逸品。
  • コロコロハラミと赤・緑ピーマンの炒め物(坂東さん作)
    • 鮮やかな赤・緑ピーマンとハラミを合わせ、生姜と七味唐辛子を隠し味に利かせた香ばしい炒め物。
  • 宮崎アグリアートのきゅうりを使った即席浅漬け(坂東さん作)
  • ここくさんのお味噌汁(難波さん作)
    • 宮崎アグリアートのお米で作られた「ここくさんのお味噌」を使用した心温まるお味噌汁。

お米の粒立ちや粘りの違いを楽しみながら、ニンニク醤油が香るコロコロハラミやフレッシュな野菜料理を合わせることで、宮崎の「農」と「畜産」が絶妙に響き合う至福のランチタイムとなりました。

4. 宮崎の食の未来を「作る人」と「食べる人」で共創する

今回のランチセミナーは、丹精込めて農作物や畜産物を育てる生産者の物語に耳を傾け、その魅力を五感で味わうことで、普段何気なく口にしている食への感謝と理解が深まる貴重な時間となりました。

「地元宮崎の美味しいものを美味しく食べること」が、生産者の情熱を支え、地域の豊かな自然環境と食文化を守ることにつながります。

これからも宮崎の旬の食材と食に携わる人々の魅力を発信する活動を続けていきます。

次回のセミナー(12月を予定しています)もどうぞご期待ください。詳細はHPからご確認ください。

イベント名 【10月31日開催】野菜ソムリエ×生産者直送サタデーMOCランチセミナー 〜お米の食べ比べセミナー〜
開催日程 2026/10/31(土)開催
活動レポート一覧