「自分をひらく、チームをひらく」 ~多様な個性を活かした組織作りとは~
開催概要
本講演会およびワークショップは、元ラグビー日本代表キャプテンである廣瀬俊朗氏を迎え、自身のキャリア、リーダーシップ論、そして引退後の社会貢献活動について多角的な視点から語られました。参加者は、講演者の実践的な経験に基づいた話と、体験型ワークショップを通じて、コミュニケーション、リーダーシップ、そして人生における「目的」の重要性について深い学びを得ました。


Ⅰ.講演者の背景と会社「HiRAKU(ひらく)」の活動
廣瀬さんは、元ラグビー日本代表選手であり、現役時代に宮崎での過酷な合宿を経験したことが、引退後の宮崎との深いつながりの原点であると述べています。引退後、自身の学びを深めるため大学院に進学し、現在のビジネス活動の基盤を築きました。
廣瀬さんが設立した会社「HiRAKU」は、スポーツの普及だけでなく、教育・食・健康に関する活動や、国内外の地域との共創に重点をおいたプロジェクトにも取り組み、全ての人にひらけた学びや挑戦を支援する場づくりを目指しています。
- 地域活性化と食料プロジェクト: 4年前から始まった「宮崎ひらく田んぼプロジェクト」では耕作放棄地を活用し、地元農家小倉俊博氏の力を借り、稲作を通して、食に想いを馳せる場作りをしています。田植え・稲刈りには県外から50名近くの人々が集い、交流をしています。
- 女性アスリート支援: 「1252プロジェクト」として、女性アスリートの月経とパフォーマンスの関係について学ぶ活動を展開しています。スポーツ現場や職場において、女性の身体特性を理解し、適切なサポートを提供することの重要性を訴えています。
- 「国家を歌うプロジェクト」: ラグビーワールドカップ2019日本開催時に、出場国の国歌を覚え歌うプロジェクトを実施しました。これは他国の文化への理解を深め、スポーツを通じた国際交流を促進するものであり、運営しているYouTubeチャンネルでは全世界の国歌がアップロードされています。
- 「One Rugby」:多様なラグビーの普及啓蒙を通して年齢、性別、障害の有無に関わらず、誰もがスポーツを楽しめる「場」を創出することを目指しています。

Ⅱ.ラグビー日本代表キャプテンとしてのリーダーシップ哲学
廣瀬さんは、ラグビー日本代表チームでのキャプテン経験に基づくリーダーシップ論を展開。
廣瀬さんは、日本代表キャプテンを2年間務めた後、ワールドカップ直前にメンバーから外されるという挫折を経験しました。しかし、この経験が「世の中には試合に出たくても出られない人がたくさんいる」という共感を促し、自身の成長に繋がったと振り返っています。成功だけでなく、「成長」の視点からキャリアを捉えることの重要性を強調しました。
Ⅲ.ワークショップ
講演会の後半では、参加者が主体的にコミュニケーションの奥深さと多様性を体感するワークショップが実施されました。

- 「ブラインド・ワーク」:
- 内容: リーダーが目を開け、他のメンバーは目隠しをして、リーダーが言葉だけで指示を出し、全員で同じポーズを作るワークです。
- 学び: 言葉による指示の難しさ、指示がどのように解釈されるかの違い、聞き手側からの確認の重要性、リーダーが相手の状況を想像して伝えることの大切さが明らかになりました。また、聞き手側が不安な時に自ら声を出すフォロワーシップの必要性も感じられました。
- 「デフ・ワーク(サイレント・コミュニケーション)」:
- 内容: 2人1組になり、片方がスクリーンに表示されたポーズを見て、言葉を使わずに相手にそのポーズを伝えるワークです。
- 学び: 言葉がない状況での表現力の限界と可能性、非言語コミュニケーションの重要性、相手の理解度を確認することの難しさを体感しました。
これらのワークショップを通じて、参加者は普段の生活や仕事におけるコミュニケーションの課題を再認識し、言葉以外の表現力や、相手の状況を想像して伝えることの重要性、そして自ら働きかけるフォロワーシップの必要性を実感しました。講演者は、これらの体験を日常に落とし込み、行動に移すことの価値を強調しました。

Ⅳ.結び
廣瀬さんは、自身の人生、ラグビーキャリア、そして現在の社会貢献活動を通じて、「困難な壁が来たらこれはチャンス」と捉え、常に行動し続けることの重要性を訴えました。結果だけでなく、そのプロセスに最善を尽くすこと、そして「自分で決めた」という主体性がモチベーションに繋がると語りました。また、個人の生き方や目標、価値観と組織の目的が一致することの重要性も指摘しました。
本講演会とワークショップは、参加者に対し、自身のキャリアや人生を主体的にデザインすること、多様な人々との協働を通じて新たな価値を創造すること、そして何よりも「自分が何を大切にして生きていきたいか」という根源的な問いに向き合う貴重な機会を提供しました。講演者の実践的な経験と熱意は、参加者それぞれの心に深く響く時間となりました。

講演会翌日、廣瀬さんと地元の有志一同は、宮崎市青島の田んぼで稲刈りをし、祭り「えれこっちゃ」に参加しました。


イベント名 | 「自分をひらく、チームをひらく」セミナー ~多様な個性を活かした組織作りとは~ |
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開催日程 | 2025/07/25(金)開催 |
開催時間 | 18:00-20:00 |
開催場所 | MOC |
参加費 | 無料 |