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『ヤンキーの虎』藤野氏がスタートアップ顧問に就任。支援が整った今こそ、一歩踏み出そう!

やってみたい事業、解決したい社会課題など、アイデアの種はあるものの最初の一歩がわからない。そんな思いを抱える人が社会実験場として活用できる場が、公民連携でサポートする宮崎オープンシティ推進協議会(通称MOC)です。

2025年6月28日、高千穂通りHAROW1階の拠点を会場に、新たにMOCのスタートアップ顧問に就任した藤野英人さんが来場。社会課題解決×スタートアップについて専門家と語るイベントを開催しました。「スタートアップ」「起業」を身近に感じ、一歩踏み出したくなるような高揚感に包まれる時間となりました。

※イベント概要はこちら

▲本イベントのスタートを飾った、藤野英人氏への「スタートアップ顧問」委任状贈呈式

▲スタートアップや起業の専門家が宮崎に!

◾️ゲスト紹介

藤野英人 氏(レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長)

1966年生まれ。2003年に同社を設立し、投資信託「ひふみ」シリーズなど約1兆4000億円の資金を運用する(※)。ベンチャー約50社に投資し、うち25社が上場。自身も2社を上場させた起業家。また、富山県を中心に地域創生にも携わり、「一般社団法人みらいまちラボ」を設立。著書に『ヤンキーの虎―新・ジモト経済の支配者たち』他がある。宮崎オープンシティ推進協議会(MOC)のスタートアップ顧問に就任。

石井芳明 氏(中小企業基盤整備機構 創業・スタートアップ支援部長)

経済産業省にてスタートアップ政策、中小企業政策に従事。J-Startup、始動Next Innovator、新SBIR制度、スタートアップ・エコシステム拠点都市、日本スタートアップ大賞、LLC/LLP法制など、各種プログラムの創設を担当。岸田政権時のスタートアップ育成5か年計画の策定にも参画。2024年7月より現職にてスタートアップ支援の実施を強化中。

【第1部】藤野氏講演「プロ投資家が語る地域創生とリーダーシップ」

本イベントのメインは、起業家であり投資家でもある藤野英人さんの講座。

藤野さんは、成長企業に投資する投資信託「ひふみ」シリーズを運用。なんと約1兆を超える資金、全国推計約100万人に上る顧客を有する巨大ファンドです。

一方、出身地である富山県で地域創生にまつわる仕事も。富山県朝日町で「一般社団法人みらいまちラボ」や、富山県の成長戦略会議の運営にも関わっています。

地域創生のキーマンは「ヤンキーの虎」?

経済や地方創生に幅広く関わり続けてきた藤野さんは、地方経済を動かす新しい存在に気づき、着目。それが、著書名にもなった『ヤンキーの虎』です。

著書によると、「ヤンキーの虎」とは、「地方を本拠地にしていて、地方でミニコングロマリット(様々な業種・業務に参入している企業体)化している、地方土着の企業。あるいは起業家」を指します。地域に顔が利き、さまざまな事業を複数展開。東京とは違った価値観・手法で稼ぎ、一定の経済効果や雇用を生んでいるような地域の事業家たちです。

一方、地方には都市部からUターンした大学卒のエリートもいます。地方創生の名のもと、国から予算をとり大型の箱物をつくりきる力があります。しかしながら、運営のノウハウがなく数年で立ち行かなくなるケースも。

そんな2つの存在、ヤンキーの虎と地方エリートが混ざり合うこと。これにより今後の地域活性化が機能するのではないか、と藤野さんは1つの可能性を提示します。そして、

「ここMOCがハブとなって、そのようなことが実現できるのではないでしょうか。そんな気配を感じて、僕は今ここに来ています」

と、MOCへの期待感を表明しました。

東京ではなく「他の地方」に目を向けよう

ヤンキーの虎に限らずとも、地方で起業する際に重要なマインドがあります。一つは、「目線を高く」すること。「宮崎から九州を、宮崎から日本を」良くしようと目線を高く、レイヤーを上げて動くことで、より多くの仲間たちを巻き込むことができます。

また、「地方の人は、他の地方に行くことで勝ち筋を見つけることができる」とも話す藤野さん。ビジネスモデルの異なる東京ではなく、似通った課題やリソースがある他の地方にこそ勝ち筋のヒントがあるのです。

さらには、情熱をもち表現する大切さ、たった1%の“ヘンジン”に火をつけたときの波及力など、後半は藤野さんの豊富な経験から編み出された貴重なヒントが散りばめられていました。

「すべてのヘンジンにエールを」

既存の枠組みにこだわらずルールや常識を疑い壊す「変人」、一点突破型の専門家・オタクの「偏人」、点と点をつなぎ新しい価値を生み出す編集者的な「編人」。このような「ヘンジン」となって、宮崎から日本を良くしてほしいとのメッセージで締めくくりました。

▲講座後、意見を交わす会場のみなさん

【第2部】チャンス到来。スタートアップや起業の支援策が充実!

ここからは、MOC理事の齋藤潤一さんがモデレーターになり、ゲスト2人とパネルディスカッションを行いました。

「会場にも“ヤンキーの虎”がいらっしゃいますね」

そう言いながら、宮崎ではお馴染みの南国プリンをゲストに手渡す齋藤さん。南国プリンを製造販売する株式会社南国CBFの河野社長を、「まさに宮崎の“ヤンキーの虎”の1人」と紹介しました。

▲南国プリン(株式会社南国CBF)の河野当将さん

「ところで、どうしたらヤンキーの虎たち、スタートアップたちを地方で増やせると思いますか?」

と質問を投げかけます。

「いきなり大きなことをやるのではなく、『小さく始める』ことが大事。まずは週末に副業としてやり始め、手応えを感じてから本格的に始めるのがいいですよね」(藤野さん)

「起業したい人やスタートアップにとって、日本は今非常にいい環境が整っています。岸田内閣が着手したスタートアップ育成5カ年計画、さらに石破内閣による地方創生2.0で地方に多くの予算が投入されています」(石井さん)

「そう、どこの自治体も起業支援に乗り出しています。プログラムを受けると融資のハードルが下がるような施策もあるので、市や県の窓口に相談するといいですよ」(藤野さん)

そう話しながら、ローカルスタートアップの創出を一つの柱とするMOCの存在価値にも触れるお二人。国内外でスタートアップを見てきたお二人の数々の言葉から、やりたいことに挑戦し起業を楽しむ環境が、今まさに地方に整ってきていることがはっきりと伝わりました。

「起業することは“穴を見つけて、穴を埋める”こと。穴を見つけるのが得意な人は、穴を埋めることが得意な人と組むといい。ぜひチームをつくり、取り組んでみてください」(藤野さん)

「起業は『挑戦』であり、『楽しみ』もあります。MOCを活用しながら、ぜひ行動に移してみてください。応援しています!」(石井さん)

▲地元スタートアップのピッチ①株式会社HATSUTORI

▲地元スタートアップのピッチ②AGRIST株式会社

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スタートアップ企業やイノベーションの創出に向けて、心強いアドバイザーが宮崎に誕生した記念すべきイベントとなりました。

会場には、地域経済を動かそうと目を輝かせる多くの地元有志たち。さらには九州、全国からも参加者が集まりました。「今後の勉強のために」と来場した現役高校生の姿も。

課題を見つけ、ビジネスで解決し、より良い社会へ。

社会課題×スタートアップで、やりたいことに一歩踏み出してみませんか。“はじまりの場”MOCと一緒に、わたしたちの未来を創っていきましょう。

※ 2025年7月25日時点

開催日程 2025/06/28(土)開催
開催時間 16:00~18:00
開催場所 宮崎オープンシティ推進協議会
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