ソラシドエア社との事業共創プログラム「X dojo(クロス道場)」キックオフ
昨年度より始まったX dojo(クロス道場)。今回は第二弾として、「宮崎の未来に種をまこう 〜共創から生まれる新たな価値~ 」をテーマにパネルディスカッションを行った後、ソラシドエアが自社のありたい姿や課題(共創テーマ)を提示し、共創プランを募集しました。
日時 2025年8月21日(木) 16:00~19:00
会場 MOC(宮崎市広島1-5-13 HAROW高千穂通1階)
【第一部】
①X-dojo開催趣旨説明 16:00~16:10
杉田 剛(宮崎オープンシティ推進協議会 創発本部長)
②パネルディスカッション 16:10~17:00
テーマ 「宮崎の未来に種をまこう 〜共創から生まれる新たな価値~ 」
【登壇者】
伊藤 智将(㈱ソラシドエア 地元価値共創本部本部長)
玉倉 大次(㈱ピエクレックス 代表取締役社長)
長友まさ美(アンドパブリック㈱ 共同代表)
【モデレーター】
杉田 剛(宮崎オープンシティ推進協議会 創発本部長)
③ソラシドエアの説明及び共創テーマの発表 17:00~18:00
伊藤 智将( ㈱ソラシドエア 地元価値共創本部本部長)
【第二部】 18:00~19:00
交流会

◆パネルディスカッション〈要旨〉
1. 登壇者の自己紹介と会社紹介
• ソラシドエア 伊藤本部長
◦ 2002年にスカイネットアジア航空(ソラシドエアの前身)に入社し、整備部門、運航部門(パイロット)、客室部門(客室乗務員)のマネジメントを経験。
◦ 2023年に「地元価値共創本部」が立ち上がり、その本部長に就任。当初は航空事業以外の活動に懐疑的だったが、現在は航空事業よりも面白いと感じている。
◦ ソラシドエアは宮崎に本社を置き、地域社会の支援を受けて成長した経緯から、地域貢献を経営理念の中核に据えている。

• ピエクレックス 玉倉社長
◦ 村田製作所の新規事業子会社ピエクレックスの社長。村田製作所は電子部品が主力だが、危機感から電子部品以外の新規事業(第3層目)も推進。
◦ 自身はメーカーで約20の新規事業と4社の設立を経験しており、新規事業の成功率を「千三つ」と言われる現状から引き上げることを目指している。
◦ ピエクレックスは「電気を発生する繊維」を開発し、環境側面(植物の非可食部を使用)も重視。使用済み衣類を4ヶ月で堆肥化する循環型モデル「P-FACTS」を全国に展開中。宮崎を農業資源やスポーツが盛んな地域として、この循環モデルの拠点として期待している。

• アンドパブリック 長友さん
◦ アンドパブリックの共同代表で、社会や環境に良い変化(「社会的インパクト」)を事業に結びつけるコンサルティングやワークショップを提供。
◦ 社会的インパクトを可視化する「ロジックモデル」や「インパクトマネジメントツール(パスコード)」を開発。
◦ 昨年のクロス道場では、硬直化した社内文化を持つ共立電機製作所に対して、新規事業を立ち上げやすい「土壌作り(SOILプログラム)」を支援。

• モデレーター 杉田さん
◦ 宮崎出身で、NTT、商工会議所(観光、まちづくり、創業支援)、東京での大手企業とスタートアップのマッチング支援を経て、宮崎に戻り、この「MOC」の運営にも関わっている。

2. パネルディスカッションの主な論点と意見
• ピエクレックスの新規事業立ち上げの経緯
◦ 村田製作所の危機感: 電子部品に依存する状況への危機感から、市場に囚われず物づくりからサービス、インフラまで新規事業を推進する方針を決定。
◦ 意思決定のプロセス: 社内では手を挙げた社員が新規事業に挑戦できる仕組みがあり、会社の大きな後押しがあった。
◦ アイデアの進化: 当初は「電気を発生する繊維」という技術的優位性に注力していたが、事業化の段階で困難に直面。その素材が環境に良い特性を持つことを「後付け」で発見し、環境側面を事業の柱に加えることで活路を見出した。
◦ 新規事業の柔軟性: 新規事業の目標は瞬時に変わるものであり、変化に対応し、大きな将来像を描く柔軟性が重要であると強調した。
• ソラシドエアの航空事業以外の新規事業
◦ 事業展開の背景: コロナ禍で九州の航空需要回復が遅れたことへの危機感から、2023年に「地元価値共創本部」を立ち上げ、九州の地域活性化への貢献を目指した。
◦ 社内の壁と突破: 航空事業は安全・確実な運航という明確な答えを持つ世界であり、当初は答えのない地域共創活動に対し、社内の理解が得られにくかった。しかし、若い社員がイベントや活動に積極的に参加し、その面白さが社内に広がることで、徐々に受け入れられるようになった。
◦ 組織文化と意思決定: ソラシドエアは元々地域貢献の企業文化があり、本部制の中で執行役員や役員が一定の裁量を持つ。伊藤本部長は、時には上司を「騙し騙し」ながら(しかし上司もそれに乗ってくれる形で)新規事業を進めていると語った。
◦ 多角化の必要性: 地域からの提案を受けつつ、「一つの事業だけではどうにもならない」という考えから、物販やPR、機内誌紹介など、多様なツールを組み合わせて付加価値を高めている。
• アンドパブリックの「土壌作り」プログラム
◦ 共立電機製作所の課題: 昨年のクロス道場で連携した共立電機製作所は、「ガチガチ」に硬直化した企業文化が課題だった。
◦ アンドパブリックの提案: 市場起点ではなく「社会起点で新規事業を立ち上げる」という提案をし、自由にアイデアが出せる「土壌作り(SOILプログラム)」を共同で開発・実施。
◦ 関係性の質と文化変革: プログラムでは、組織内の「関係性の質」向上と「社会的インパクト」の可視化を重視。参加者が役職ではなく呼びたい名前で呼び合うなど、小さな取り組みから文化変革を進めている。
◦ 事業へのインパクト: 文化変革には時間がかかるが、社会的インパクトの指標を事業成長に繋がるように設定することで、活動の意義を社内で理解してもらい、長期的な視点で取り組むことの重要性を強調した。
• 宮崎の経済発展と共創への展望
◦ 伊藤本部長(ソラシドエア): 宮崎は人や企業の質が高いが、人口減少などの地域課題は一社では解決できない。各企業が強みを持ち寄り、コミュニティとして連携することで、スピード感を持って地域経済を活性化できると提言した。
◦ 玉倉社長(ピエクレックス): 日本企業は新規事業を短期で諦めがちだが、海外では10年単位で粘り強く取り組み、ブランド化に成功する事例がある。宮崎は既にスポーツやフルーツといった「文化としてのブランド」を持っているため、これに外部の技術や企業を掛け合わせ、一社で欲張らず謙虚に連携することでブランド力を高めることができると述べた。
◦ 長友さん(アンドパブリック): 99%再生可能エネルギーで生活する街の事例を挙げ、住民全体の行動変容が大きな変化を生むことを指摘。宮崎も興味関心が近い人々(観光、スポーツ、社会課題など)が異業種で集まり、コミュニティとして活動を始めることで、大きなインパクトを生み出せる可能性を秘めていると語った。

◆ソラシドエアが募集する共創テーマ
ソラシドエアが募集する「共創テーマ」は下記の3つです。自社の商品・サービスと協業可能性があるご提案を広く募集します。
①九州・沖縄プロモーター活動の認知度向上
九州・沖縄の「ヒト」「コト」「モノ」を繋ぐ地域振興企画で、様々な形で九州・沖縄に触れ、プロモーションできる機会を創出する『九州・沖縄プロモーター(※)』活動の認知度向上策について募集します。 参照サイト
※現在ソラシドエアの『九州・沖縄プロモーター』としては、空恋プロジェクト・九州移住ドラフト会議メインスポンサーを実施しています。
②付帯事業収入拡大策
航空事業以外の収入に関わることで、現在実施しているECや機内販売のさらなる収入拡大案について募集します。
※但し、EC・機内販売についてはすでにソラシドエア内での方針があるため、商品を取り扱ってほしいという提案はお受けできません。あらかじめご了承ください。
③環境・社会課題への取り組み
持続可能な社会の実現を目指し、CO2削減や生物多様性の回復に向けた取り組み(ネイチャーポジティブ)等を行っており、地域社会の抱える課題を解決する新たなご提案を募集します。
④その他
①〜③に当てはまらない自由な提案も募集しています。
◆ソラシドエアの共創テーマピッチ動画はこちら https://youtu.be/8IL4A09m22M
◆ソラシドエアピッチ内容要約版はこちら 【ソラシドエアの伊藤本部長プレゼンテーション抜粋】 - Google ドキュメント

◆交流会ケータリング


イベント名 | X dojoキックオフ |
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開催日程 | 2025/08/21(木)開催 |
開催時間 | 16:00-19:00 |
開催場所 | MOC |
参加費 | 交流会2,000円 |