PROJECT

AIを伴走者にする思考法 ~課題整理と意思決定のための実践ワークショップ~

本講演は、フリーランスのアートプロデューサー・ディレクターとして活躍する山口典子氏を講師に迎え、「AIを最強の伴走者にするための思考法」というテーマで実践を交えた双方向性の高いセミナーとなりました。

1. イントロダクション:AIは「答え」ではなく「伴走者」

山口氏は、ハイブランドのイベント演出やデジタルアート(NFT)事業など、多岐にわたる業務を一人で回すためにAIをフル活用しています。講演の冒頭で、AIを「正解を探す検索エンジン」としてではなく、「共に考えるためのパートナー(伴走者)」と定義しました。

役割分担の明確化: AIは論点整理、要約、複数案の生成、リスクチェックを担い、人間は目的の設定、前提の更新、最終判断と責任を担います。

マインドセット: 「AIが仕事を奪う」と恐れるのではなく、「AIを使いこなし、相棒にしていく人が生き延びる」という視点を持つことが強調されました。 

2. 実践的な初期設定とツールの使い分け

セミナーでは、参加者がその場でPCやスマートフォンを操作し、実務で安心して使うための設定から始まりました。

情報漏洩の防止(デモ): ChatGPTやGeminiの設定画面を開き、入力データが学習に利用されないよう「モデルの改善」をオフにする手順を全員で実施しました。

3大AIの特性理解:

    ◦ ChatGPT 論理的な構造化や文章作成に強い。

    ◦ Gemini Googleツールとの連携が強力で、最新情報の検索や画像生成に秀でている。

    ◦ Claude 高い倫理観と自然な日本語表現が特徴で、公的な仕事に向く。

3. 最強の指示書(プロンプト)術  「目前出(もくぜんで)」

AIの精度を劇的に高める合言葉として、「目前で」というフレームワークが紹介されました。

目(目的): 何を達成したいか一言で。

前(前提): ターゲット、制約条件、自分の立場(「あなたは国内トップのディレクターです」といった役割付与も有効)を細かく伝える。

で(出力) 形式(表形式、Excel用など)や文字数を指定する。 デモンストレーションでは、「宮崎のお土産」をテーマに、最初は曖昧だった回答が、条件を加えることで瞬時に比較表になり、Excelデータとして出力される過程が示されました。

4. 参加者参加型ワークショップ:AIとの「壁打ち」

参加者が自分のビジネス課題や日常の悩みをAIに投げかけるワークが行われ、具体的な成功事例が共有されました。

レシピ作成: 「つなぎを使わず、自宅にある機材で短時間で作れる米粉パンのレシピ」を指示し、実用的な手順を引き出した例。

ビジネス設計: 自分の業務内容(設計やコンサル等)を入力し、新規事業のロードマップやオンラインセミナーの企画案を作成させた例。 山口氏は、一度の回答で満足せず、AIと何度も対話を繰り返す「壁打ち」の重要性を説きました。

5. クリエイティブとデータ分析への応用

さらに高度な活用法として、画像生成とデータ分析のデモが行われました。

画像生成: Geminiの「Imagen(ナノバナナ)」を使い、講師自身の写真をもとにドレス姿へ変身させるなど、高精度なビジュアル生成を披露しました。

資料作成の自動化: AIで作成した構成案を、資料作成特化型AI(GenSparkやManus)に読み込ませ、一瞬でプレゼン資料を完成させるワークフローが紹介されました。

NotebookLMによる分析: 本セミナーの参加者アンケートを読み込ませ、参加者のAI習熟度や動機を瞬時にグラフ化・分析する手法を見せ、会場を驚かせました。

6. Q&A:現場の悩みに答える実践アドバイス

後半の質疑応答では、参加者からの切実な疑問に講師が経験に基づき回答しました。

ハルシネーション(嘘)対策: 「分からない場合は正直にそう答えて」と指示に加えることや、ファクトチェックを命じるプロンプト術が伝授されました。

回答の質の維持: AIが混乱し始めたら(目安は15回程度のやり取り)、チャットを新しく作り直し、これまでの良い回答をコピーして再スタートするのがコツです。

多言語対応: 英語などの翻訳が正しいか不安な場合は、一度翻訳したものを再度日本語に戻す「リバース」チェックが有効であると回答しました。

7.結び
講演の最後には、複数のAIモデルを同時に比較できる「天秤AI」などの便利ツールも紹介されました。山口氏は、AIに対して「時には怒ってもいい(指摘して再学習させる)」と述べつつ、感情的な対話すらも活用して自分の思考を広げていく、「人間中心のAI活用」の在り方を提示し、講演を締めくくりました。

イベント名 AIを伴走者にする思考法 ~課題整理と意思決定のための実践ワークショップ~
開催日程 2026/02/05(木)開催
開催時間 18:30-19:30
開催場所 MOC
参加費 無料
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